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全日本学生自治会総連合(伍代委員長)

2・23「強制給食」国賠 控訴棄却判決を弾劾する

 本年2月23日、「強制給食」国賠控訴審判決が下ろされた。福岡高裁第3民事部裁判長・金村敏彦は、一発結審の上で控訴棄却をうちおろした。徹底的に弾劾する。

 2009年12月提訴以降、約4年半にわたって闘い抜かれてきた本国賠の1審判決(2014年5月19日)は、原告側全面敗訴であった。原告同志たちは直ちに控訴した。

 何よりも1審判決(福岡地裁第6民事部・裁判長山之内紀行)は「09年3・12暴行」の事実を認めなかった。この暴行によってできた傷を「自ら『保護房』で扉をけって暴れた時にできた傷かもしれない」と言い放った。太ももの内側のあざまでが一体どうやって「自ら暴れてできる」というのか。原告同志がハンストによって福拘当局に要求したのは、この「3・12暴行」への謝罪である。そしてこの闘いを鎮圧するために強行されたのが「強制給食」である。控訴審では、なんとしても「3・12暴行」の事実、この点を追及しなければならなかったのだ。

 福岡高裁裁判長・金村は、昨年10月27日の控訴審第1回で即日結審を強行した。同志たち(控訴人側)は新たな証拠を提出したが、金村は控訴人の意見陳述しか認めなかった。「法廷での審理はおこなわない」と吐き捨てそそくさと逃げ去ったのだ。

 控訴人側は1月9日に弁論再開の申し立てを行ったが、1月19日、裁判長・金村はこれを無視して判決を強行しようとした。これに対して、同志たちは「裁判官忌避」を出し、裁判が止まり、判決は延期となった。1月28日、福岡高裁第4民事部は忌避申立を却下した。そして、2月23日の判決となった。福岡県警と一体で弾圧を策しながらの判決公判であり、福岡県警―福拘―裁判所一体となった拷問認容判決=控訴棄却判決を徹底弾劾する。

「生命の危険があるほど衰弱していたから」はハンストつぶしの常套文句だ!

 その判決理由は1審判決を徹頭徹尾補強する全く許しがたいものである。

 そもそも、福拘が「強制給食」をおこなったことを正当化する論理は、「拒食が各々17食、19食」「8月、最高気温30度を超えていた」「水分のみで生命を維持することはできない」「控訴人らが衰弱していた…生命に危険が及ぶ恐れがあり、強制給食をする必要が認められた」というものである。つまり、生命の危険があるほど衰弱していたからだ、というのだ。

 ところが、この「強制給食」の姿勢や速度などその態様があまりにも「生命の危険をかえりみない、危険な行為」「拷問・虐殺行為である」という控訴人側弁護士・同志たちの主張に対しては、ことごとく「当人らの抵抗が予想された」「抵抗の意思を明らかにしていた」から「通常の方法では困難だった」というのである。「強制給食」を正当化する「衰弱していた」という論理と矛盾するではないか!

 つまり、福拘の「3・12暴行」への謝罪拒否を「強制給食」という暴力をもって福拘は体現した。実力での抵抗が予想されるほどに同志たちの怒りは深く強かった。これを制圧し、闘いを鎮圧することが国家として絶対的に必要だったことをあからさまに述べる。「衰弱していた」といったその舌の根も乾かぬうちにうちにこう主張することが、どれほど矛盾しているのか、どれほどペテンに満ちているのかなどおかまいなしなのである。これが福岡地裁―高裁貫く判決の最大の特徴であり、高裁判決はこれをさらに推進した。

福拘全面擁護の判決

 東署134号同志が再三「苦しいぞ」と訴えていたことについては、なんとこの発言が、「経腸栄養剤等の注入開始後にされたものであるから」、「タオルで猿ぐつわされていた呼吸の苦しさではなく、栄養カテーテルを挿入されたこと自体による苦しさ又は経腸栄養剤の注入に伴う胃の膨張等による苦しさを訴えたものである」といってのける。

 同志は口からの呼吸を猿ぐつわで封じられ、片鼻での呼吸を強いられていたのである。「経腸栄養剤」が注入されている時は全く呼吸ができず、注入されていない時にかろうじて声を発することができたのである。もし一言も苦しい状況を訴えなければ、「文句を言わず受け入れていた」とするのであって、全て正当化するための詭弁にすぎない。

 「事前の説明」についてはこうだ。「確かに詳細な説明はしていない。しかし強制給食の方法について上記程度の説明があれば、控訴人らにおいて任意に食物又は経腸栄養剤を摂取するか否かの判断をすることは可能」「明らかに拒否する旨を明らかにしていたことからしても、…違法はない」

 「鼻からチューブを突っ込んで無理矢理入れさすぞ」と恫喝することのどこが「説明」と言えるのか。怒りに堪えない。

 「強制給食」時の姿勢については、「エンシュア・Hの説明書に記載されているとおり、経腸栄養剤の注入は、経腸剤が逆流して誤嚥するのを防止するため、上半身を約30度挙上し、体位を整えて行うのが望ましいことは認められる」という。同志たちは、ストレッチャーや診察台に180度あおむけに押さえつけられて注入されたのである。それを正当化するためにこういう。「しかしながら、控訴人らの抵抗を受けながら実施しなければならず、しかも、迅速に行ったとしても、一定の時間は必要であり、その間、控訴人らに一定の姿勢をさせておく必要があるから、必ずしも常に上記のような望ましい姿勢で行うことができるものではない」と。はじめに「強制給食」ありきの論理である。

 さらに「投与速度と量」については、「確かに、エンシュア・Hの投与速度は通常1時間に50ないし100ミリリットルとされる」「本件各措置においてされたエンシュア・Hの注入速度は相当に速かったものといわざるを得ない」と言いつつ、「しかしながら、控訴人らはいずれも一貫して拒食を継続することを明確にし、本件各措置を実施するに当たり控訴人らが抵抗することも予想された中で、本件各措置を上記通常の注入速度で実施することは困難であったというべき」といい、「長時間にわたり、職員らが控訴人らを制圧し続けるのは現実的ではなく、かえって控訴人らに対して無用の苦痛を与えるおそれもある」とまでいってのける。

 当時少年であった中央署55号同志は“1500ミリリットルを約10分間”で注入され、東署134号同志は“1250ミリリットルを約4分間”で注入されている。どれほど殺人的な行為だったかこれだけでも一目瞭然である。しかし、“死なななかったから問題なし”とした地裁判決をさらに糊塗するように高裁判決は“抵抗するほうが悪い、看守の暴行には甘んじろ”“拷問は短時間で済んだのだから、感謝しろ”というものである。何が何でも「強制給食」は合法だというのだ。絶対に許すことなどできない。

 「おう吐や下痢の危険性」については、「栄養カテーテルが胃に挿入されていることは送気音で確認されているから…誤嚥が生じるおそれはなかった。また、…藤澤医師は、…医務室から吸引の設備を保護室に持ってきたとしていることから、…保護室にも吸引の設備が整っていたと認められる」「(だから)おう吐による誤嚥が生じた場合であっても、異物を吸引して取り除くことは可能であった。また、…下痢が生じたからといって、直ちに控訴人らの生命の危険や健康に関する深刻な危険が生じるおそれがあったものとも認められない」と、「おう吐による誤嚥が生じることをわかった上でやった」のだと完全に居直っているのだ。全く許しがたい言い草である。  最後に、「強制給食」にあたって、福拘が同志たちを診察台やストレッチャーに押さえつけ(当局が開示したビデオですら勢いつけておさえつけた「ゴン」という音が入っている)、目隠しして猿ぐつわまでかませておこなった行為について「抵抗が予想された中での抵抗を排除するための必要最小限度の有形力の行使」だと居直った。これこそが国家暴力の姿である。

 そして地裁判決に続いて、日々医療現場で「経鼻経管栄養」を医療として行っている控訴人側証人・医師A氏が「大変危険な行為」「医療とはいえない」といった証言には、全く触れることができなかったのである。

CIAによる拷問を許すな

 昨年12月、米帝の上院特別委員会の報告書によってCIA(中央情報局)の拷問の一端が明らかにされた。CIAはその拷問手法を「強化尋問手法」と呼んでいる。この拷問にはグアンタナモなどで抗議のハンストつぶしのために「強制給食」も取り入れられている。今現在、世界各地で帝国主義者と闘う、あるいはその秩序を乱す、とされた労働者人民に日々強行されている拷問の一環として「強制給食」があるのだ。注目すべきは、CIAの「強制給食」拷問ですら、椅子に座らせる、つまり角度をつけて流し込む、ことが前提になっている。ただただ一気には死なせないためである。あおむけにして、一気に流し込む福拘の拷問形式は、世界的なレベルから見ても殺人的であることがよくわかる。

 CIA拷問の実態とは、「(尋問者は)2002年12月にほぼ2日半A氏から睡眠を奪い、彼の腕を16時間ずっと彼の頭上に縛り付けたまま弾丸を装填していない銃で模擬処刑をしたりドリルを回しながら彼の頭に近づけたり彼の母親に対し性的暴行を行うと脅した」

 「B氏は彼の頭髪を剃られ裸にされた上、彼の手足を縛られ彼の腕を彼の頭上にのばしたままにされ、冷え冷えとした白い部屋で煌々とした灯りの下で大声を浴びせられ感覚を奪われた。さらに、睡眠を奪われたり、食事を与えられたり与えられなかったり、顔をつかむ、(身体を)思い切りつかむ、腹を叩く、顔を叩いたり壁を叩く、などの強化尋問手法を数週間続けて受けさせられた」

 「C氏は1、2週間以上水責めを受け、180時間あるいは連続7日間以上ほとんど立たされたまま睡眠を奪われる強化尋問手法を受けた」

 「両足のうち片方が義足であるD氏は4時間寝た後70時間立たされ睡眠を奪われ、そしてまた23時間立たされた後20時間以上座らされ睡眠を奪われるという拷問を受けた。CIAはこのやり方を“標準の”尋問手法などと言っている」

 「C氏、A氏、およびE氏はみな直腸への水分注入や直腸への栄養注入を行われ、B氏とD氏は同じことをやると脅された」というものである。

 CIAなどの米帝の国家機関は、単独行動ではなく他国や機関の協力を得て、「テロ容疑者」とされる人たちを秘密裡に移送して拘束し拷問を行っていた。その協力した国とはポーランド、マケドニア、イタリア、リトアニア、ルーマニア、スウェーデン、イギリスなどだ。また、元米大統領ブッシュは彼の2010年の回顧録で溺死寸前の「水責め」を含む「強化尋問手法」の利用を承認したと断言している。これまで明らかになった事実は氷山の一角にすぎない。

 反共的「イスラム国」のメンバーは、人質に着せる衣服を、このグアンタナモのオレンジ色の囚人服を模倣しているといわれている。対「イスラム国」を口実とした「反テロ」攻撃とその下で激化する拷問を許さない。

あらゆる拷問を廃絶しよう

 「強制給食」国賠は棄却となった。しかし、この5年にわたる公判闘争で多くの人々と共に闘い監獄の暴虐を明らかにし拷問を許さない陣形を押し広げてきた。今こそ、法廷外での闘いを強化し、反弾圧の闘い、とりわけ拷問と拷問に向かう策動を真正面から見据え打ち破ろう。裁判所の本質を暴露・弾劾し、包囲し、解体する闘いに起とう。暴行を行った監獄当局・下手人に報復しよう。「強制給食」拷問の廃絶をかちとり、監獄をはじめとした治安弾圧機関を解体しよう。獄中者解放をかちとろう。

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