共産主義「復活」の諸問題
―階級闘争の現段階と革命の展望―

中原一著   1970年5月発刊   

=序 文=

 以下の諸文章は、66年から70年初頭までの提起をまとめたものである。何らかの形ですでに提起したものと、そうでないものとの双方をふくんでいる。

 このような形での提起をした理由は次の諸点である。

 第一は、それぞれの文章が闘いの中で書きとばさざるをえなかったため、文章上不明確な点を多くのこしていた事(これは闘いにおわれてほとんど校正ができなかったことにも原因がある)、それを少しでも整理しようと思ったのである。

 第二は、われわれの戦線は、今、革命の展望へ向けて大きく飛躍しつつある。そして、その路線・展望は組織の諸論文の中で示されつつある。そのような大きな方向性の中で特に問題として強調せねばならぬと思う点を、系統的にまとめたいと思ったのである。

 共産主義革命運動の現段階から言えば、それはプロレタリア的政治闘争と、その中での、社会民主主義・スターリニズム・トロツキズム―要するに小市民社会主義―の根底的止揚の問題である。後者は、私自身がそこから産出された60年安保以来の学生運動のひとつの中心課題であった。

 まとめて言えば、職場のゲリラ戦を背景にして観念的普遍性―トロツキズム・スターリニズム―を越えたプロレタリアの階級的政治闘争がどのように前進していくのか、という点に最後の集中点をおこうとしている。

 全体としては未整理のままで幾つかの添削を行なっただけである。従って、何をどこまで言いえているかという事と同時に、何を問題としているのかという点にも力点をおいてよんでいただきたいと考える。

 1970年4月       中原 一

=目 次=



日本左翼思想の総括の視点は何か? (1966年3月)

 T.支配階級の思想とは何か?
   A.私有財産の完成としてのブルジョア社会
   B.有産階級の思想とは何か?

 U.中間主義とは何か? ―スターリニズム・トロツキズムの思想構造
   A.ブランキズム
   B.所謂「スターリニズム」
   C.宗教的実存主義左派
   D.まとめ

 V.共産主義とは何か?

 W.日本左翼思想史の問題点
   A.戦後階級闘争の概略
   B.日本左翼思想史の問題点


共産主義革命論・序説―史的唯物論確立のために1 (1968年春)

 T.階級闘争の現状とその思想的課題

 U.戦後学生運動の展開とその認識論的整理

 V.共産主義理論(史的唯物論)の出発点は何か?

 W.近代ブルジョア思想とその止揚としてのマルクス主義―ヘーゲル批判のために

 X.いくつかの問題について
   1.疎外の構造と認識の問題
   2.学生の疎外感について
   3.トロツキズムとは何か?
   4.「主体性論」の批判的止揚の観点
   5.「経済学」批判の視点



学生運動の革命的転換を強力に推進し決戦期へむけての戦列を建設せよ!―学生運動の思想的総括― (1967年12月)

 T.戦後階級闘争の概略

 U.日本学生運動における左翼思想の展開

 V.12月全国反帝学生評議会結成の意義は何か?

 W.学生運動の革命的転換を推進せよ!



革命的労働者党建設の道は何か―学生戦線からのアプローチ (1968年春)

 T.過渡期とは何か
   1.過渡期の意味
   2.われわれの原点は何か―われわれの運動の基本的総括
   3.小ブル急進主義とマルクス主義
   4.小ブル急進主義と疎外された党
   5.学生活動家の思想性について

 U.過渡期の突破の道は何か
   「観念化」とは何か
   「観念化」の突破の鍵は何か ―われわれの到達した地点



共産主義革命論・序説―史的唯物論確立のために2 (1969〜70年初)

 T.資本制生産様式と商品の物神的性格
   1.生産物とは何か?
   2.物神性形成の構造
   3.分業と機械のもつ支配力
   2.「衝撃力」と「革命的団結」

 U.「観念的疎外論」と「機械的唯物論」批判の視点
   ―黒田寛一の史的唯物論にあらわれている宗教的本質を軸として
      〈機械的観念論批判のわれわれの基礎〉



69年秋の闘いの総括と、70年安保・70年代階級闘争の展望 (1970年初頭)

 T.世界革命に対する全世界ブルジョアジーの反革命戦線の全面的再編成

 U.国際「共産主義」運動の現段階

 V.戦後日本階級闘争の問題点と70年代の方向性

 W.69年秋の闘いの総括の原点は何か?

 X.「革命期」におけるプロレタリア運動の戦略と戦術

 Y.70年代階級闘争の展望と6月安保決戦