党・ソヴィエト・武装蜂起
中原一著 1972年4月発刊
=目 次=
第T部 党・ソヴィエト・武装蜂起
第1章 階級闘争の歴史と70年代の情勢
―世界資本主義の戦後体制の再編と矛盾の蓄積1.第2次世界大戦と階級闘争
2.第2次世界大戦後の世界の展開
3.第2次世界大戦後の世界資本主義の動揺とブルジョアジーの対応
4.スターリン主義国家の歴史
―その構造と矛盾の展開 (中国階級闘争を軸として)
5.プロレタリア階級に集中される資本主義社会の矛盾
―合理化の構造と本質
6.世界階級闘争の現段階と日本の政治過程
7.世界資本主義の戦後体制の崩壊と再編
―矛盾のよりいっそうの蓄積と世界的同時爆発
=世界革命・同時革命への道 (70年代)
第2章 ソヴィエト運動の歴史的教訓 (ドイツ革命)1.初期から第1次大戦まで
2.第1次大戦から1918〜23年の革命期まで
3.相対的安定期から30年代革命期へ
4.ドイツ革命敗北の教訓
第3章 60年代日本階級闘争の教訓と70年代階級闘争1.60年代階級闘争の教訓
2.70年代階級闘争におけるソヴィエト運動と労働者革命党
第4章 プロレタリア革命における軍事路線T.戦略の基礎となる基本問題1.70年代階級闘争の国際的背景
2.日本革命運動の歴史の中での軍事問題
3.革命運動における軍事(暴力)の原理的把握
4.プロレタリア革命における軍事路線の基本構造
5.プロレタリア革命における軍事路線と組織方針
6.現実の階級闘争の中から階級的武装の獲得へ
7.階級闘争における「勝利と敗北」と「軍事問題」
8.日本階級闘争における暴力の質をめぐって
U.戦略と戦術の現在的諸問題1.目的の実現
2.目的の実現における軍事的側面
3.当面の戦略と戦術のポイント
4.階級闘争の現状と組織路線
5.現段階における戦略・戦術
第U部 史的唯物論の確立のために
1 「物神」(性、人種、民族、貨幣)と「神」の解明問題の提起
第1章.共同体の歴史的展開についての要約
第2章.物神(性、人種、民族、貨幣)の構造
第3章.神と物神の産出構造
<参考T>.分業と競争の論理
<参考U>.人間の認識の構造―ギリシャ哲学における認識の発展
2 帝国主義研究―恐慌と革命第1章.宇野経済学の批判的検討
第2章.スターリニストの経済学における「恐慌と革命」
第3章.『資本論』における恐慌と革命の弁証法的(社会科学的)解明
第4章.帝国主義の解明―原理論と段階論
第5章.国家独占資本主義
3 レーニン主義とプロレタリア革命はじめに
第1章.レーニンの思想構造
―レーニン「物質規定」の限界と宗教批判の不可能性
第2章.レーニンの戦略思想
第3章.プロレタリア世界革命、永続革命へ
4 弁証法(史的唯物論)の根本問題
< 序 >
プロレタリア革命、世界革命=同時革命の貫徹は、プロレタリア統一戦線として築きあげられてきた闘いの更に強力な前進の中にしかない。その闘いを世界階級闘争の歴史の中に把え返し、それを通して70年代の戦略的指針を更に整理し強化せねばならない。不充分な点を鮮明にし、歴史的な革命運動の蓄積とその発展の中に止揚していかねばならない。こういう作業の一つとして提起するのが、以下の諸論文である。
われわれがこの段階で正確に総括しておかなくてはならぬのは、ロシア革命から始まる公然たる世界革命が挫折した決定的原因の一つたるドイツ革命の敗北である。1918年から32年まで、ドイツの革命派は4〜5回にわたる武装蜂起を試み、そのすべてに失敗する。その敗北は、おおまかにみれば二つの型に分けられる。第一の型は、大衆の革命化、権力の崩壊、労働者・兵士の評議会(レーテ)の成立、帝国主義軍隊の解体の中でそれにもかかわらず、指導すべき革命的労働者党があまりにも弱体かつ無方針な状況におちこんでいた結果おきたものである(自然発生性への拝跪)。第二の型は、革命ロシアのポルシェヴィキ(ロシア共産党)の圧倒的な影響下で30万人の党員をもった(うち工業労働者が80%)党が、革命ロシアと大陸の地つづきで武器、軍事司令官の補強についてもきわめて有利なもとで試みられるが、プロレタリア大衆総体の革命的蜂起と結びつきえず起きたものである。つまりこの革命派が、ドイツ・プロレタリアートにとって外在的なものだったのだ。
われわれの闘いの歴史を、この問題のなかにしっかりと把え返さねばならない。以下の諸論文はここにいっさいの焦点をあわせている。それは二つにわかれている。第T部は、政治的階級的戦略にかかわるものである。これは、政治組織次元で出され闘われているものを、歴史的にまたは原理的に深めんとする目的で書かれている。問題の性格上まったく無関係というわけにはいかないが、意図しているものは、政治組織次元で出されているものの歴史的背景からの把え返し、または原理的深化である。そういう意味で直接的な方針としては書かれていない。またそういうことからいくらかの問題について要点的に、または間接的にしかふれていない。第U部は、第一部の中身を理論的原理的にさらに追求するために善かれた。つまり科学的戦略展望をみちびきだすべき、基礎的理論的研究として書かれている。
すべてを大急ぎで書きとばさざるをえなかった。そういう点から、どこまで充分に正確にいいつくせているかが心配となり、くどいような書きかたになっている点もあるし、またもっと充分に展開すべき点を多くのこしたりしている。またある論文のなかで展開すべきことを、あとから別の論文のなかで書いたりしている。そういう意味での直接的な非斉合性を頭にいれていただいたうえで全体をとおして読んでいただければ、何を解明し、何を強調せんとしているかは理解していただけると思う。70年代の階級闘争を各戦線で闘っている人びとに討論の素材となれは幸いである。
なお、ここに収めたものは70年から72年にかけて書いたものであり、すでに何らかの形で提起したものもあるが、いま書いたような事情からその不充分性を抜本的に整理するようなことはできていない。
1972年2月